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高地トレーニング(低圧低酸素トレーニング,低酸素トレーニング)実施の注意事項

極端に標高の高い環境での高地トレーニングは身体に重大な障害をおよぼす可能性があります. 

高地トレーニングは標高3000m以下で行ってください.

高地トレーニングは平地に比較して酸素濃度が低い状態でトレーニングをするものです.体内の酸素供給量が減少することで酸素運搬能力等の改善するために実施します.酸素濃度が低下している環境であるために過度な低酸素状態を避けて,安全性を考慮して実施することが重要です.

《安全な高地トレーニング実施するために》

安全な高地トレーニングを実施するには,下記の点を遵守することを推奨しています

1.専門的な知識がある指導者と適切な高地適応のためのトレーニング計画を立案する

Wilber博士(米国オリンピック・パラリンピック委員会,コロラド大学)は高度2,000m以上でトレーニング効果があると述べており,

2000m〜3,000mの実施が適切である

2.トレーニング前とトレーニング後のチェック

体調は日々異なります.トレーニング前後に脈拍,血圧,酸素飽和度(SpO2)をご自身で測定を して,体調管理を行う

いつもと体調が違うことに気づいたときはトレーニングを中止しましょう

3.トレーニング中は酸素飽和度SpO2をモニターして,安全なトレーニングを実施

トレーニング中は酸素飽和度SpO2をモニターして,安全に実施する

酸素飽和度は一定レベル以下になったときにアラームで警報がなるタイプを使用する

   

  •   SpO290%以下:呼吸不全の状態
  •   SpO275%以下:心虚血性変化をもたらす危険性
  •   SpO250%以下:組織障害,意識障害や昏睡状態に至る危険性

高地トレーニングと低気圧室トレーニングの関係について

高地トレーニングと低気圧室トレーニングは同じではありません。一般的に高地トレーニングは3000メートル程度までの標高で行われてきました。4500メートルを超えると日数を掛けた順化(なれること)が必要になりますが順化できないと低地におりなければいけません。もし、低圧装置で高地トレーニングの代用を行おうとする場合は、標準的な高地トレーニングの順化手順を模擬できる場合と、そうでない場合、順化プロセスが成立しない場合に分けて考えなければいけません。これらのいすれにおいても専門的な知識と、実行するには正しい医学的な管理と記録が必要です。

酸素分圧21%(大気中の組成と同じ)で低気圧条件(0.66気圧(標高3000メートル相当)、0.5気圧(標高6000メートル相当))での低気圧室でのトレーニングは体内の酸素輸送能力の発達(高地順応による循環系の強化や長期滞在によってヘモグロビンの増加を得ること等)によって個体差が大きくなります。ただし生体にとって低酸素状態そのものは危険な状態であり決して慣れたら克服できるというものではありません。

パルスオキシメータ

酸素飽和度にはいくつかの指標があります。体や血液にどれだけ酸素が行き渡っているかを示す指標はPaO2です。PaO2は水中の溶存酸素分圧で絶対的な酸素量を示す数値です。空気にさらされている水は150mmHgで、肺胞内、動脈、抹消組織、静脈と下がっていきます。コロナのときにパルスオ キシメータというものをよく使いました。パルスオ キシメータで測定したものをSpO2と呼びます。これは 酸素と結合したヘモグロビン量 (レーザーでわかる)を全体のヘモグロビン量(これもレーザー)の比で絶対的酸素量ではありません。SpO2は同じ値であってもその人それぞれでヘモグロビンの量によって運ばれている酸素量が違うのですが、同じ一人の人のヘモグロビンがどれだけ酸素化されているかということは生理的なそのときの状態を知るうえで意味があります。3000メートルを超える高山や低気圧トレーニングではパルスオ キシメータは順応や運動負荷の適量を判定するためには必携とされています

日本気圧メディカル協会とは?

当法人は、広く一般市民に対し、気象および環境が生体の機能に与える影響についての 講師の派遣、講演会・セミナーの企画・開催に関する事業を行います。

気象変化と疾病との関連について研究し 多くの方々に気象病の予防・治療法について普及・啓発します。

健康気圧法の普及事業を行います。

最適な気圧刺激に関する的確な指導を行うことのできる「健康気圧マスター」を 育成・養成し資格認定を行うことによって より多くの方々が安心して健康で快適な生活を送るための指導を受けるようにします。

慢性痛のように気象・環境に影響を受ける疾病について研究を行っている 個人・団体との連絡・協力及び支援に関する受託事業を行い 気象病に関する知識や対処法技術の共有をすることによって 健康増進を目指します。

気圧の上げ過ぎは危険です。

酸素カプセルや酸素ルームを使用する場合、1.5気圧を超える気圧を使用することは、次のことから危険です。

2気圧以上、純酸素 (100%酸素) を使用した「高気圧酸素」の使用法が確立しています。治療を目的として使用されており、20種類ほどの治療 (医療行為) に使用されています (一酸化炭素中毒、熱傷や凍傷、脳梗塞、腸閉塞、突発性難聴などの治療に使用されます)。高気圧酸素治療は、高気圧と高濃度酸素を利用して体内の溶存酸素を最大限に増やすことを目的として使用されています。高気圧酸素治療では、鼓膜が破損したり、白内障になったり、活性酸素が過剰に発生するなどの副作用が生じる危険性が高くなること、さらに爆発の可能性 (静電気の発生によっても発火する恐れがあります。したがって、高気圧酸素治療の装置には、綿または木綿100%の下着を着用して滞在します。) が高いので、専門医の指導により行われます (医療機器を使用した医療行為になります)。一方、酸素カプセルや酸素ルームは、健康や体力の維持・増進、抗加齢 (アンチエイジング)、美容への効果などを目的として使用する健康機器になります1)。酸素カプセルや酸素ルームの気圧を高くして使用すれば、それだけ医療用の装置で得られる効果に近づき、酸素カプセルや酸素ルームの本来の目的から離れたものになります。気圧を上げればすべてのことに対して効果が得られるわけでなく、さらに気圧を上げればそれだけ大きな効果が得られることにはなりません。何を目的として酸素カプセルや酸素ルームを使用するのかに合わせて、適切な気圧と酸素濃度を使用する必要があります。高い気圧ほど医療を目的とした使用になり、健康機器としての効果が大きくなると考えるのは危険です。

副作用が生じる危険性が高くなる

酸素毒性1)は1.5気圧以上で認められ、1.75気圧を超えると活性酸素2)が過剰に産生することが指摘されています (Wikipediaの「酸素カプセル」による報告より)。

1)酸素毒性とは、体内の過剰な酸素が有害な作用を及ぼしている状態のことです。これにより、筋肉のしびれやけいれん、呼吸困難などが生じます。酸素毒性の影響は、とくに脳と肺で大きいことが知られています。

2)活性酸素とは、酸素分子が反応性の高い化合物に変化したものの総称です。がんや生活習慣病の原因であり、老化を促進させます。

負の生理反応が生じる

高い気圧に設定するほど、その気圧に達するまでに時間を必要とします。気圧の上昇中は交感神経1)の活動が積極的になり、血管が収縮を続けます (一方、気圧が低下しているときは副交感神経2)の活動が積極的になり、血管が拡張を続けます。血管拡張により血管の周囲の神経が圧迫されて、頭痛が生じる場合があります。これを天気痛といいます)。設定した気圧に達して気圧の上昇が止まると血管の収縮もなくなりますが、高い気圧に設定するほど長い時間にわたって気圧を上げていくので血管の収縮が続くことになり、血流の悪化を引き起こします。

1)交感神経は、副交感神経とともに自律神経系を構成しており、心と体の状態を活発にする神経です。運動をしているとき、緊張やストレスを感じたときに血糖や血圧を上昇させて、安静時心拍数を高めるのが交感神経です。

2)副交感神経は、交感神経と反対の働きをします。心と体の状態を落ち着かせる神経です。

酸素カプセルや酸素ルームが破損した場合の危険性

酸素カプセルや酸素ルーム内の気圧が高いほど、破損時に生じる気圧の変化 (低下) は激しくなります。気圧が高いだけでなく、気圧の上昇や低下を急激に行うと体への悪影響 (たとえば鼓膜や肺の損傷など) が生じる危険性が高くなります。それを回避して、安全に (副作用なく) 効果1)を得るには、酸素カプセルや酸素ルーム内の気圧と酸素濃度を適切に維持することが必要になります。酸素カプセルや酸素ルーム内の気圧は1.25気圧から1.3気圧、酸素濃度は35%から50%にすることで安全に効果1)を得ることができます。

1)血液中に溶け込む溶存酸素を増やすことにより、健康や体力の維持・増進、抗加齢 (アンチエイジング)、美容に対する効果を得ることができます。赤血球内のヘモグロビンに結合する酸素を結合酸素といい、体内におけるすべての酸素の95%以上は結合酸素になります。体内の結合酸素は酸素カプセルや酸素ルームで増やすことができますが、健康な人の場合はヘモグロビンに結合している酸素は98%程度であり、酸素カプセルや酸素ルームを使用しても2%ほどしか増やすことができません。結合酸素は、高地順応 (酸素濃度の低い高地に長期間にわたり滞在して体をその環境に適応させる (ヘモグロビンを増やす) こと) により増やすことができます。

酸素カプセルや酸素ルーム内で火災が生じた場合の危険性

酸素カプセルや酸素ルームでは、100%の酸素 (純酸素) を使用することがないので、内部でろうそくやマッチに火を灯しても爆発することはありません。内部でろうそくを灯した場合、燃焼効率が良くなることでろうそくの長さは外部よりも約2.5倍の速さで短くなります (1.25気圧、40%酸素を使用した場合)。しかしながら、酸素カプセルや酸素ルーム内は密閉されており、すぐには減圧できません。気圧が高いほど減圧するための時間を要することになり、火災による被害を大きく受けることになります。

医療用装置と健康用装置の違い

1)酸素カプセルや酸素ルームの効果は、「石原昭彦. 軽度高気圧酸素の仕組みと効果. ファルマシア (日本薬学会), 53: 241-244, 2017」と「Ishihara et al., Mild hyperbaric oxygen: mechanisms and effects. Journal of Physiological Sciences, 69: 573-580, 2019」に総説としてまとめられています。

京都大学教授 日本気圧メディカル協会参与 石原明彦

事業内容

安全で安心な健康気圧法のコンサルティング、普及事業

巷には様々な種類の「気圧(+酸素)カプセル」が販売されています。しかしながら、その効果を科学的に証明したものはなく、使用方法や適用にはっきりとした基準がないため、混乱をまねいています。そこで、気圧メディカル 協会は、これまでの研究成果による科学的根拠をもとに、身体・精神の健康維持に効果的な健康気圧法のコンサルテ ィング、講習会などを通じた普及事業を行っていきます。

健康になる空間気圧調節装置の開発事業

私たちは、晴天時に相当する微高気圧環境が、うつ・不安と不眠症あるいは慢性痛の症状の改善に一定の効果があ ることを明らかにしました。また、高気圧環境が代謝を改善・向上したり、ガン化やガンの転移増殖を抑制することも 明らかにしました。今後は、高気圧が様々なシーンで活用できることが予想されますので、当協会は、さらなる技術を 開発することで快適空間を創造していきます。

健康気圧マスターの育成・養成ならびに資格認定に関する事業

最適な気圧刺激に関する的確な指導を行うことのできる「健康気圧マスター」を育成・養成し資格認定を行うこと によって、より多くの方々が安心して健康で快適な生活を送るための指導を受けるようにします。

講師派遣・取材依頼

気象病や最新の気圧治療などに関する様々なテーマで講演致します。

学会、一般の方々向けだけではなく、マスコミ取材、出演依頼などにも対応致します。お気軽に お問い合わせください。

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